お知らせ
18.04.6(金)ミックスエンジニアが語るピッチ補正の真実
お世話になっております。StudioOnett 佐藤です。
今回は大げさなタイトルになってしまいましたがピッチ補正について少しお思うところがあったので書きたいと思います。
※あくまで一個人の意見です。
ピッチ補正ってそもそも何?という方はSound Treatmentさんのこちらの記事をご覧ください。
当スタジオでは歌ってみたMixの約8割をピッチ補正プランでご依頼で頂いております。
そんな中で感じたことをつらつらと。
【神懸かり的に上手いボーカリストの場合】
絶対音感持ちの方などからピッチ補正依頼を受けた時(そもそもやらない方が良くないですか?と言っていますが…)一瞬で終わります。
僕がメインで使用しているMelodyneですと歌を取り込んで写真のように全選択します(赤くなってるのが選択している部分です)。
これをダブルクリックすると音程にはまります。おしまいです。
そもそも神懸かり的に上手いボーカリストというのは数cent(ピッチの単位です)しかずれていないので、正しい音程に自動でMelodyneが合わせてくれます。
本当にお化粧といった感じですね。
【かなり上手いんだけどちょっと惜しい、癖が強いボーカリストの場合】
出ました。はい。これです。これが僕の中で一番の鬼門です。
こういったケースは歌の「しゃくり」や「フォール」などを違和感なく表現してあげないといけません。
僕の場合ですが写真のようにノートを刻みに刻んでそれを表現してあげます(縦線部分が刻んでる部分です)。
これがもうホント大変。正直疲れハンパないっす笑。
【歌い手視点からのミックスエンジニアの上手い下手】
歌い手の方が言うミックスの上手い下手。これはもう断言できるんですが正直作ったサウンドなんて誰も聞いていません。
補 正 が 上 手 い か 下 手 か
これに尽きます。
僕は元々ボーカルレコーディング専門のスタジオで働いていたのですが、補正の腕が見込まれてお声をかけて頂くというケースもありましたので悪いことではないと思います。
そういう風潮に対して、
「もうちょっと音も聞こうよ…!トータルで評価しようよ…!」というのもエンジニアとして正直ある、というのをお伝えしておきます。
【ピッチ補正の弊害】
これは「音の劣化」です。先日、鳥貴族という居酒屋でご飯を食べていた時にメジャーアーティストの作品が流れてきたのですが、
あ、ピッチ補正してる
あ、ピッチ補正してない
すぐわかりすぎて逆に疲弊してしまいました。
これはMelodyneやAuto-Tuneというのはオーディオを取り込んだ時点で独特の「メラメラとした質感」になってしまうからです。
また寸分の狂いのない三和声のハモリなどでもわかりますね(アイドルなど顕著です)。
【ではピッチ補正とどう向き合うべきか?】
これは言ってはいけないこと(というか言ったらお仕事減る…笑)ことなんですが、
ピッチ補正は
正 直 め ん ど く せ ぇ で す 笑
当スタジオではオプションという形でピッチ補正を設けておりますので、ご依頼頂いた方が時給的には上がるんですがそれでもめんどくせぇです笑
ただ、「頼むな」とは僕は言いません。それはご依頼頂いた方には100%満足して頂きたいですし、僕も満足したいからです。
今、数多と存在するミックスエンジニアやMix師の方にピッチ補正をお願いして出来たテイク。
それは「歌のお手本」と思ってください。
アーティストというのは生歌ありきライブありきです。
作品を聞いていいな、と思った歌い手さんの配信を聞きにいって下手だったらファンやめませんか?僕ならやめます。
決してピッチ補正に甘えたりしてはいけません。
あくまで僕らがお渡しした歌のテイクはお手本。渡す前より綺麗に聴こえる以上そう歌えるはずなんです。
大げさなタイトルの割に対したこと書けませんでした(苦笑)がピッチ補正についてでした。
ではまた。